クリスマスはご馳走でお祝い!

A Natale, o grosso o piccino, su ogni tavola c’è il tacchino.

こんにちは。あっという間に迎える年の瀬、2012年も終わりに近づいてきました。シエナではクリスマスの準備も大詰めに入り、イルミネーションで彩られた町は家族や友人へのプレゼント選びに奔走する人々でいっぱいです。本年度最後のお便りはイタリアを代表するfesteの一つ、クリスマスをテーマにお届けします!

イタリアのクリスマスは、カトリックでは復活祭に次ぐ重要な祝日。12月に入るとキラキラと飾り付けられた町のあちこちからクリスマスソングが流れ出し、イブやクリスマス当日も沢山の人が外出して祝う日本のクリスマスに比べると、イタリアのクリスマスはぐっと落ち着いた雰囲気があります。イタリア語でクリスマスを意味するNataleは、もともと「誕生の」という意味を持つ形容詞。単語が示す通り、イエス=キリストの誕生を祝うfestaとして宗教的に大きな意味を持つ祝祭であるとともに、イタリアでは何よりも家族と過ごす特別な時間です。

家族の集まる温かい食卓はクリスマスの象徴でもあり、そこには古くからの伝統が息づいています。実は、タイトルの諺やディケンズの小説にあるようなクリスマスの七面鳥料理は、イタリアでは比較的新しいメニュー。地域によってバリエーションがありますが、魚や野菜をメインとしたイブの晩餐と、去勢された雄鶏capponeとスープをメインとしたクリスマス当日のお昼の正餐が昔ながらの典型的なクリスマスの食卓とされています。

 七面鳥が16世紀にアメリカ大陸からヨーロッパに渡ってきたことを考えると、フライやマリネとしてイブに供される魚は長い歴史を経て現代に受け継がれてきた食材です。魚は古代からインド=ヨーロッパ文化圏では豊穣と知恵のシンボルであり、またキリスト教ではichthysと呼ばれるイエス=キリストのシンボルです。(ギリシア語で「イエス=キリスト、神の子、救世主」を意味するΙησοῦς Χριστός Θεoῦ Υιός Σωτήρをラテン語に置き換えて頭文字を並べると、ギリシア語で「魚」を意味するichthysとなります。)

クリスマスに限らず食はさまざまなfesteに欠かせないの要素の一つです。古くは儀礼の中で神様に捧げられたりと重要な意味持っていました。その名残としてfeste自体を象徴するような食の伝統は現代にも多く伝えられ、クリスマスはその代表格とも言えます。

 

例えば、ある時代の典型的なクリスマスのギフトは、アーモンド、ドライフルーツ、胡桃、ヘーゼルナッツ、栗、果汁と蜂蜜をベースにした手作りのケーキなどでした。胡桃、ヘーゼルナッツ、アーモンドなど硬い殻に包まれたナッツ類は「堅固に守られた真実」のシンボル、乾燥イチジクは沢山の種があることから「豊潤」や「繁栄」のシンボル、という具合にそれぞれに長い歴史が隠されています。そしてそれを受け継ぐように、現代イタリアのクリスマスケーキがあり、特に砂糖漬けのドライフルーツの入った甘いパン状のお菓子は典型的なクリスマスの焼き菓子として全国的に食べられています。

ご馳走を囲みながら温かい家族団欒のひと時を分かち合えることを喜び、お互いの幸せを祈るクリスマス。みなさんにも素敵なクリスマスが訪れますように。

Tanti auguri e buone feste!!

 

*当記事は2012年12月付けで公益財団法人 日伊協会のサイトにて紹介されています。