寒さで凍える冬、ジェラートをほおばる夏

D’inverno congelato, d’estate con gelato.

こんにちは。ようやく夏らしいお天気になり、こんがりと日焼けした肌が町を彩り始めました。暑い日にいただきたいdolceといえば、誰もがご存知、夏の風物詩ともいえるジェラートです。秋冬は休業のジェラート店も春先からぼちぼちと営業を再開し、お天気のいい真夏日には長い行列を眼にするようになってきました。今回は旬の真っ盛り、美味しいイタリアのgelatoについてお便りします。

 

日本でもすっかり定着したジェラートという言葉。「凍る、凍らせる」という意味を持つ動詞gelareの過去分詞から派生した名詞です。接尾辞をgelatoにつけてgelateriaとするとジェラート店、gelataioとするとジェラート屋さんを意味する単語になります。また、縮小辞をつけてgelatinaとすると同じく夏に美味しいゼリーになります。

 

ジェラートの歴史についてはいろいろな説がありますが、その起源は、シチリアとアラブの二つの文化が融合して生まれたグラニータに遡るようです。そして、16世紀、カテリーナ・ディ・メディチとアンリ2世の結婚式に際して、フィレンツェのルッジェーリという料理研究家が今日のジェラートに似たデザートを作ったといわれています。

続く17世紀、シチリア出身の料理人フランチェスコ・プロコピオ・ディ・コルテッリがパリにカフェ・ル・プロコップをオープンさせます。フランチェスコは、祖父が趣味で研究していたジェラート製造機を改良し、たくさんのジェラートを作りました。カフェに登場するやいなや、ジェラートは流行に敏感なパリの人々を夢中にさせました。パリに集う芸術家や思想家たちもその例に漏れず、かのヴォルテールは「こんなに美味しいジェラートが合法だなんて!(La glace est exquise – quel dommage il n’est pas illégal)」とコメントを残しており、その虜になっていた様子が窺えます。

現在、ジェラートには大きく2つの種類があり、大量生産型のgelato industrialeと手造り型のgelato artigianaleがあります。イタリアは世界で唯一ジェラート市場の55%をgelato artigianaleが占める国と言われ、半島には小規模経営の美味しいジェラート店がひしめいています。夏は、いろいろなジェラテリアを巡りながらお気に入りのお店を見つけて、イタリアをひんやり甘く味わってみてはいかがでしょうか?

 

 

*当記事は2013年6月27日付けで、公益財団法人 日伊協会のサイトで紹介されています。