シエナのパリオ祭

Il Palio di Siena

こんにちは。夏も本番、太陽のまぶしい季節になりました! シエナでは、町のアイデンティティともいえるお祭りil Palio(パリオ祭)が近づき、人々の熱気がぐんぐん高まってきました。
世界的に有名なパリオ祭をいっそう楽しめるよう、今回の号外編ではシエナの町が誇るパリオについてお届けしたいと思います!

 

シエナと言えばパリオ、パリオと言えばシエナ

パリオ祭はシエナ市の企画運営する大規模なイベントです。毎年7月2日と8月16日の2回、 市の中心に位置するカンポ広場(Piazza del Campo)で行われる馬のレースのお祭りとしてよく知られています。
シエナの旧市街はコントラーダと呼ばれる17の地区に分かれており、各パリオごとに10コントラーダが馬のレースで競い合います。年間を通してシエナの人々の生活はコントラーダを基本に営まれており、パリオ祭はそのメインイベント。町とは切っても切れない関係があります。

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パリオ

パリオ祭の起源は13世紀にさかのぼると言われ、町の歴史と常に深いつながりを持ってきました。1260年のモンタペルティの戦いでシエナが勝利した際、聖母マリアに感謝の祈りを捧げるために祭りと馬のレースを行ったのが始まりと言われています。
シエナ共和国の黄金時代(13世紀初頭から14世紀半ばにかけての150年間)には、パリオは8月15日の聖母マリア被昇天を厳かに締めくくるお祭りでした。長い歴史の中でお祭りのスタイルは様々に変化し、いろいろな形式のパリオが行われてきました。

有名なのは14世紀初頭の長距離レース。シエナの町のいずれかの門をスタートし、大聖堂ドゥオーモがゴールがゴールとなっていました。時には騎手の乗っていない馬が走ることもあったようです。勝者には高価な織物でできた旗が贈られ、その旗がpalliumと呼ばれていたために祭り自体の名前がパリオとなりました。

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現在パリオ祭のレースは、特別に整備されたカンポ広場で開催されます。歴史装束を身にまとった人々の豪華絢爛な大行進に続いて馬のレースとなります。1回のパリオ祭に出場するのは10のコントラーダのみ。10頭の馬が広場のコースを3周して一番にゴールしたコントラーダが優勝旗パリオを手にします。
観覧方法は、広場の周りにめぐらされたベンチや広場に面する窓を予約するか(有料)、広場内で場所を確保して観覧するか(無料)の二つになります。いずれも入場できる制限時間があるので気をつけましょう!

 

コントラーダ

シエナの旧市街は3つの丘に沿って広がり、それぞれの丘によって町が3分割されています。この3区画はさらに17の区域に細分化することができ、この17区域がコントラーダと呼ばれます。もともとは中世の軍事的背景を基盤に59ものコントラーダが編成されていましたが、時を経るにつれ再編淘汰が進み軍事的機能を失っていきました。
しかし、コントラーダはただ地理的に町を区画するだけではなく、シエナの人々の魂を包括するような存在となりま した。洗礼、結婚、葬儀、パリオ祭、食事会、パーティーなど、コントラーダの担う役割は広く、人々の生活から切り離せません。

各コントラーダは動物などのシンボルを自らの名前として掲げています。 Aquila (ワシ)、Bruco (イモムシ)、Chiocciola (カタツムリ)、Civetta (フクロウ)、Drago (竜)、Giraffa (キリン)、Istrice (ヤマアラシ)、Leocorno (ユニコーン)、Lupa (雌オオカミ)、Nicchio (貝)、Oca (アヒル)、Onda (波)、Pantera (ヒョウ)、Selva (森)、Tartuca (カメ)、Torre (塔)、Valdimontone (雄羊) 。

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シエナの人々は、パリオが近づくと自分のコントラーダのスカーフを身に着けて生活します。

フランスの人類学者レヴィ=ストロースは、その様子を「Il fazzoletto è la bandiera personale dei senesi」と言い表し、シエナの人々が各々コントラーダの旗を掲げてパリオ祭に臨んでいるさまを観察しています。

お土産店で売っているスカーフを巻くときは注意が必要。スカーフを巻いて、ライバル関係にあるコントラーダの区域を通るとトラブルとなることがあるので気をつけましょう!

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お祭りをフルに楽しもう!

一般的なパリオ祭のイメージは7月2日と8月16日の馬のレース。確かに興奮が頂点に達するまたとない瞬間ですが、それだけを観るなんてもったいない! パリオ祭の醍醐味はその前後にあると言っても過言ではありません。パリオ祭当日までの熱い熱い3日間をご紹介するので、ぜひ足を運んでみてください!

6月29日と8月13日@カンポ広場: 馬の選出と抽選
パリオ祭に出場する10のコントラーダと10頭の競走馬の組み合わせを決める。早朝から馬の選出開始。午後はパリオ祭に出場する10のコントラーダによる抽選。

6月29日~7月3日と8月13日~16日@カンポ広場: 試走
パリオ祭の3日前の夕方から当日の朝まで全6回(朝は9時ごろ、夕方は7時半ごろ)。特に盛り上がるのは祭り前日の夕方に開催される第5回目の試走 “prova generale” 。

当日午前@カンポ広場: ジョッキーの祈祷、最終試走など 
午前8時ごろから開始。市庁舎に隣接する礼拝堂で大司教によりジョッキーへの祈祷に続き、”provaccia” と呼ばれる最後の試走が行われる。

当日午後@旧市街各所: 馬の洗礼、大行進など 
午後3時ごろから各コントラーダの礼拝堂で馬の洗礼。その後、中世の衣装に身を包んだコントラーダの代表やシエナ市の代表が旧市街を行進し、ドゥオーモ広場に集合。大聖堂正面あたりで各コントラーダの旗手が旗をふるパフォーマンス。

当日夕方@カンポ広場: 各種行進、レース
午後5時ごろには、イタリア国防省の騎馬部隊による行進。続いて豪華絢爛な衣装が圧巻の行進il Corteo Storicoが開始。行進が終わるとすぐにクライマックスのレース。

当日夕方@カンポ広場~各教会: 賛歌テ・デウム
パリオ旗の授与後、優勝コンラーダは神へ感謝の歌テ・デウムを捧げに教会へ向う(7月のパリオ祭はProvenzano教会、8月の場合は大聖堂ドゥオーモ)。優勝したコントラーダの地区での祝宴。コントラーダの教会では、飾られたパリオ旗を見学することができる。

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イベントが目白押しのパリオ祭。私たちには想像も及ばないほど、シエナの人々にとってパリオ祭はとても神聖なお祭りです。普段は絶対的に安全な町ですが、祭り前後は緊張や興奮から気が立っている人も少なくないので、要らぬトラブルを避けるためにも不注意な言動や行動には気をつけましょう。
世界中の人々がパリオ祭を一目見ようと集まってきますが、「祭りの主役はあくまでもコントラーダに属するシエナの人々」ということを頭の片隅に置いておくと、一層楽しく深くお祭りを味わうことができるはずです。 また、日中は日差しも強く かなり暑くなるので、日射病や熱中症の対策を万全にして楽しく見学してくださいね!

*当記事は2012年6月29日付けで、公益財団法人 日伊協会のサイトで紹介されています。