どんなお祭りが好きですか?

Meglio una festa che cento festicciole.

こんにちは。8月のバカンスシーズンも終わり、こんがり日焼けして夏休みから戻ったイタリア人は今年はどんな休暇を過ごしたのかおしゃべりに花を咲かせています。そんな会話のキーワードは、故郷のお祭りや海辺のパーティーなどさまざまなfesteです。今回のお便りはfestaという言葉自体にスポットを当てみたいと思います!

今年度のお便りのテーマになっているfesteという言葉。現代イタリア語での基本的な意味は「祝日、祭日、休暇、パーティー、祝宴、陽気な気分にさせるものごと」とされています。毎週やって来る日曜日domenicaも語源をたどればキリスト教のdominica dies(神の日)であり、労働日に対する安息日festaでした。現代イタリア語では祝祭日のほか日曜日もgiorni festiviとされ、それと対になる平日はgiorni ferialiと定義されています。

 もともとfestaという言葉はラテン語のfestus dies (儀式を執り行う日) が起源で、特別なお祝いをする日に捧げられた期間を指していました。本来festeには世俗と神聖を分ける役割があったといわれており、収穫祭、洗礼式、結婚式、など、一年という時間や人の一生の中である区切りをつけ、ある状態から別の状態への移行を象徴するものでした。日常的な労働日と特別な服や食べ物で儀式を行うfesteはいわば表裏一体となって、私たちの一生の時間を構成している大切な要素と言えるのです。

 さまざまなfesteは本来厳かに儀礼を行う神事の時間と賑やかな祝祭の時間の二つから構成され、儀礼によって人々は集団の秩序を再認識し、祝祭によって集団の一体化を強めると言われています。宗教的な起源を持つNataleやPasquaなどはもちろん、Epifaniaのように宗教的な意味が薄れたりMille Migliaのように全く宗教と切り離されたfesteも含め、現代でもfesteは人々を深く巻きこみ人々とのつながりを強く感じさせてくれる貴重な瞬間です。

悠久の歴史の中ではぐくまれた伝統が脈々と受け継がれ今なお強く息づくイタリア。祝祭を「お祭り騒ぎ」で祝うだけでなく、その由来に興味を持って楽しむと、festeをより深く堪能できることに間違いはありません!秋も収穫祭、芸術祭などさまざまなfesteが目白押し。イタリアの人々と共感する時間、festeの醍醐味をみなさんも堪能してくださいね!

*当記事は2012年9月に公益財団法人 日伊協会のサイトで紹介されています。